ご自身の愛犬や愛猫と同行避難するための心構えや準備ができている飼い主さんにとって一番気になるのは、実際に避難生活を送る事になった際の滞在形態だと思います。
避難所に到着後、ペットと同じ場所に滞在することができるのでしょうか?
過去の災害発生時の実例をいくつか紹介します。
【同行避難】を正しく理解する
具体例に入る前に正しく理解しておいてほしい言葉があります。
それは ⇒ 「同行避難」
環境省指導のもと、各自治体ではペットとの「同行避難」を原則としています。
この言葉の意味は、
同行避難=災害発生時にペットを連れ、避難所まで一緒避難すること
であり、避難所で飼い主とペットが同じエリアで共に避難生活を送るという意味はありません。
あくまでもペットを危険な自宅に置き去りにせず避難所までは一緒に避難してきてください、という意味です。
実際の避難形態(例)
それでは実際にこれまでのケースでどのような避難形態があったのかを見て行きましょう。
飼い主とペットが別居(ペットは屋外)
一番多いのが、飼い主とペットは避難所内の別の場所で過ごし、更にペットの避難場所は屋外となるケースです。
飼い主さんたち人間は、体育館や公民館などの建物の中で避難生活を送り、ペット達は屋外のグラウンド、屋根のある自転車置き場などでケージやクレートの中で過ごします。
避難所によっては、ペット用のテントを用意してくれる場所もありますが、あくまでも人間とは別に過ごすパターンです。
飼い主とペットが別居(ペット専用の一室が用意される)
飼い主とペットは別の場所で過ごすものの、例えば校舎内の教室や廊下などに「ペット専用の場所」が準備されており、ペットも屋内で過ごせるケースもあります。
屋内という事で飼い主さんとしては多少安心できると思われますが、学校などの規模の大きな避難所のみとなる事が多いでしょう。
飼い主とペットが同居(専用の一室)
数少ない例の中には、学校などの規模な大きな避難所で、校舎内教室等に「ペット同伴者専用の一室」が準備されるパターンもあります。
ひと家庭一部屋ではなく、他の飼い主さんやペットと一緒に過ごす事にはなりますが、飼い主さんにとっては比較的安心なパターンです。
飼い主とペットが同居(専用のテント)
こちらも少ない例ではありますが、体育館等の通常の避難場所の中に、ペット同伴者用のテントが用意されるものです。
飼い主とペットが車中泊
飼い主がご自身の意思でペットと過ごすことを選択し、避難所内のグラウンドや駐車場でペットと車中泊をするケースもあります。
このケースは、車での避難が可能だった場合、また避難所に駐車場やグラウンド等の駐車スペースが設けられており、車内で過ごすことが安全であるという避難所責任者の了承が必要となると思われます。
また、飼い主さんがエコノミー症候群等にならないよう体を動かしたり水分を多くとったりなどの対策が必要となりますし、猛暑期・極寒期にはこの滞在形態は難しいでしょう。
ペットのみ車中泊
飼い主さんの意思によりペットのみ車中泊させるケースもまれにあります。
しかしながら、季節によっては車内の気温がペットにとって危険な状態となることもあり、何らかの理由でやむを得ない状況のみと考えた方がよいでしょう。
ペット受け入れ拒否される場合もある
ペットの同行避難は基本原則としてありますが、避難所に到着後避難所から受け入れ拒否されるケースもあります。
それはどんなケースでしょうか。
いくつか例を挙げます。
- 狂犬病予防接種をしていない(犬)
- 狂犬病予防接種が済んでいる事を証明できない/鑑札がない(犬)
- 日頃のケアが全くされておらず酷い臭いがする
- 一見してノミやダニがいることがわかる
上記例は「飼い主責任履行不十分」と言える内容です。
飼い主さんがペットのケアを怠っていたことにより避難所に一緒に入れない・・・そのような事態を避けるためにも、
- 必要な予防接種は必ず済ませる/ 鑑札をつける
- 日々の生活の中でシャンプーやノミ取りなどのケアを行う
- 知らない人や動物と一緒になってもストレスなく過ごせるようなトレーニング
このような飼い主さんとしての責任を忘れないように心がけ、できる限りストレスの少ない避難生活を送れるようにしたいものですね。
実際どうなるかはケースバイケース
具体的にどんなケースがあったのか、それは分かった、では自分がペットと避難した時にどうなるのか?
それが知りたい、という方も多いと思います。
それに対する答えを一言で言えば、
ケースバイケースです。
もう少し詳しく説明しますと、
避難所へ着いた後の滞在形態は以下の条件などによって変わってきます。
- 災害の種類(台風、水害、地震など)
- 災害の規模
- 避難所の規模
- 避難所自体の被災状態
- 自治体・避難所のペット受け入れ準備状況
- 避難者の数
- ペット同行者の数
- 自治体の方針
- 避難所管理責任者の考え方
このように、実際にどの滞在形態になるかはケースバイケースであり、その時になってみないとわからない、というのが現実です。
<更新履歴>
2020/05/20 記事公開