猫トレーニングTOP写真

不特定多数の人や動物が集まる避難所への愛猫との「同行避難」。
日頃から愛猫をいろいろな環境に慣らしておく事で、災害発生時など日常とは違う不安な状況の中でも過ごしやすくなります。

キャリーバッグに慣らす(クレートトレーニング)

キャリーバッグを「病院に行く時に入れられる場所」と認識してしまい、見ただけで怯えてしまったり暴れてしまう猫もいます。
けれど、迅速に非難するためには猫がスムーズにキャリーバッグに入ってくれる必要がありますし、避難所では猫は基本的にキャリーバッグの中で過ごさなければなりません。

こうした事がストレスにならないよう、普段の生活の中でキャリーバッグに慣らしておくことが必要になります。
これをクレートトレーニングと呼びます。

carry bag middle

日常的にキャリーバッグを家の中に置いておき、猫が自由に出入りできるようにしておきましょう。
普段から猫が好んでいる場所に置いておくのもよいでしょう。

猫は狭い場所が好きなので、キャリーバッグの中がお気に入りの場所になる子もいるかもしれません。
そうならない場合は以下の方法で徐々に慣らしていきます。

  1. キャリーバッグの中に、お気に入りのおもちゃや毛布、おやつを入れるなど猫の喜ぶ環境を作ります。
  2. 決して無理強いせず、猫がキャリーバッグの中にあるお気に入りのものや食べ物につられて自分から中に入るのを待ちましょう。
  3. 中に入ったら入り口は閉めずにそのままにしておきます。
  4. しばらくの間、これを繰り返します。
    おやつはキャリーバッグの中で貰えるものと思うようになるまで、それ以外の場所ではおやつをあげないようにするのも効果があります。
  5. キャリーバッグ自体に慣れてきたら、猫がおもちゃで遊んでいる間やおやつを食べている間に扉をそっと閉めます。
  6. 怖がってトラウマになってしまわないよう、最初はほんの数秒程度で構いませんし、扉もきっちりと閉めず、猫が押せば開く程度でOKです。
  7. 慣れてきたら扉を閉めたままおやつを与えてみます。
    扉が閉まっていてもおやつがもらえ(よい事がある)怖い事はない、と感じてもらうようにします。
  8. 更に慣れてきたら扉をしっかり閉めてみましょう。
    この際も大きな音は立てずそっと閉めるように気を付けます。
    この状態でおやつを与え、扉がしっかりしまってもよい事があると覚えさせます。

一朝一夕にはいかないトレーニングですが、トラウマにならないよう根気よく進めてください。
かわいそう…という気持ちがよぎる事もあるかもしれませんが、「これは猫のためになる」という事を飼い主さんが意識しながら行う事が大切です。

トイレトレーニング

トイレトレーニングは避難所生活への準備としてではなく、猫を飼う際に必ず行ってほしい基本のしつけとなります。
「トイレは家の中の決まった場所で」が飼い主としてのマナーと責任です。

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家と外を行き来している猫の糞尿から、近隣トラブルが発生することもあります。
家の中の決まった場所で用を足すことを愛猫に覚えさせる事は、避難所での生活をスムーズに行う助けにもなります
※なお、この記事では猫が家と外を自由に行き来する事の是非には触れませんが、その場合は必ず去勢・避妊手術を行ってください。
猫が外で繁殖行動を行い、野良猫が増える事があってはなりません。

リード・ハーネスに慣らす

避難所でキャリーバックから愛猫を出す時には、脱走を防ぐためにリードかハーネスが必要になります。
「うちの子はおっとりしているから大丈夫」と思っていても、いつもと違う環境下では猫の行動も普段通りとは限りません。
長い時間キャリーバックの中で過ごしていた猫に外を歩かせる事ができ、ストレス解消にもつながります。

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リードやハーネスは嫌がる猫も多いので、普段の生活で慣らしておく事が大事です。
また、飼い主さんもスムーズに脱着ができるように練習しておきましょう。

サイズが合わず抜けてしまい、猫が逃げ出してしまうのを防ぐため、ハーネス、そしてリードを使う時の首輪は適切なサイズのものを選んでください。
また、リードを付ける時の首輪は、外れてしまう事がないようにセーフティバックル式以外のものを使用してください。

猫の社会化 ― 家族以外の人、場所、におい、音、他の動物に慣らす

子猫の頃から飼い始める場合は、生後2ヶ月くらいまでに飼い主以外の人や動物、音など、普段と異なる環境や刺激に順応できるようにできるだけ多くの体験をさせてあげましょう。
この生後2ヶ月くらいまでの時期は「猫の社会化期」と呼ばれ、猫の順応性を育むのに大切な時期だといわれています。

家族以外の人に撫でてもらったり抱いてもらったりなど、スキンシップ慣れ、人慣れしておくことが重要です。
その他、危険のない範囲で他の動物と接したり、生活家電などの音に慣れるようにしておきましょう。

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この「社会化期」を過ぎている猫は警戒心が強くなってしまいますが、それでも根気強く慣らしていく事は可能です。
ただ、無理強いはますます警戒心を強くしてしまう事になりかねませんので禁物です。
家族以外の人におやつをもらったりお気に入りのおもちゃで遊んでもらったりして、猫が楽しんでいる間に少しずつ家族以外の人や環境に慣れていく、という形がよいでしょう。