マイクロチップの重要性
近年、悲しい事に豪雨や台風、地震などの災害が増えてきていますが、そんな時にSNS等でよく目にするのが迷子の犬や猫の情報です。
突然の災害に驚いて逃げてしまった犬を飼い主さんが探している事もあれば、「首輪がついている猫ちゃんを保護しました」というような、飼い主さんを探す呼びかけもあります。
首輪などにつけている迷子札や犬鑑札は飼い主さんの身元を示す情報源とはなりますが外れてしまうことも全くないとは言えず、最悪の場合、迷子のまま飼い主さんに再開できないという悲しい結果になってしまう心配もあります。
そこで飼い主さんにぜひ実施していただきたいのがマイクロチップでの身元表示です。
迷子札や犬鑑札に加えて、世界中でも広く使われている「ペットの体内にマイクロチップを埋め込む」という対策が、大切な家族の確実な身元証明となります。
マイクロチップとは?
では大切なペットの体に挿入するマイクロチップとはどんなものなのでしょうか?
以下に簡潔に説明してみます。
大きさ | 直径約2mm, 長さ約8mm~12mm |
形 | 円筒形 |
外部 | 生体適合ガラス |
内部 | IC、コンデンサ、電気コイル |
上記のような造りのチップの中に世界で唯一の15桁のID番号(個体識別番号)が記録されており、この番号は専用のリーダーで読み取ることができます。
電池は不要で一度埋め込めば半永久的に使用できます。
チップが体内で移動する事は殆どなく、環境省のHPによれば、これまでに故障や外部からの衝撃による破損の報告はないとの事です。
マイクロチップを装着するには
マイクロチップの装着は必ず獣医さんが行います。
費用は動物の種類や各医院によって異なりますが、犬や猫の場合はだいたい数千円程度が一般的です。
専用の注射器によって挿入しますが、痛みは通常の注射と同程度といわれており、すぐに終わります。
麻酔等も基本的には必要ありません。
犬や猫の場合は首の後ろに埋め込むのが一般的であり、犬は生後2週間、猫は生後4週間頃から装着できます。
ほ乳類、鳥類、カメやヘビなどの爬虫類、カエルなどの両生類、魚類など、ほとんどの動物に装着できます。(装着可能時期や金額はかかりつけの動物病院にお問合せ下さい)
装着後のデータ登録
装着しただけでは、まだ大切なペットの身元証明にはなりません。
装着後、ID番号と飼い主さんの名前、住所、連絡先などのデータを、飼い主さんご自身で「動物ID普及推進会議(AIPO)」のデータベースに登録する必要があります。
登録料は、1千円程度です。
ペットショップ等で「マイクロチップ装着済」として売られていた動物を購入した場合も、体にマイクロチップが入っているだけでデータは未登録です。
購入したペットショップで登録申込書を貰い、必ず飼い主さんのデータ登録を行ってください。
飼い主さんご自身が引越しされた等の理由で住所や電話番号の変更があった場合は登録情報の更新を忘れずに行う事が必要になります。
データの読み取りに関して
装着したマイクロチップ内に記録されたID番号は前述したように専用のリーダーで読み取り、その番号からデータベース上に登録された飼い主さんの情報を照合します。
リーダーは全国の動物保護センターや保健所、動物病院などにあります。
リーダーがネットショップ等でも売られている事がある為、個人情報が漏れるのを心配する声もありますが、リーダーで読み取れるのはID番号のみであり住所等の個人情報そのものが漏れる事はありません。
おわりに
豪雨や台風、地震などの自然災害は決して避けられるものではありません。
そして災害発生時に大切なペットが驚いて家から飛び出したり、避難時のいつもと違う光景や雰囲気に怯えて逃げ出してしまうような事がないとは残念ながら言い切れません。
しかしながら、万が一そのような事になってしまったとしても、「マイクロチップ装着および登録」という事前の対策を行っておく事により、ペットと再会できる可能性は格段に高くなります。
大事な「家族」を迷子にしてしまわないように。
離れ離れになってしまわないように。
ペットへのマイクロチップ装着は、「家族」を被災から守る大切な手段なのです。