浸水家屋の消毒方法TOP写真

台風・大雨などで被災された方々に対しましては、謹んでお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復旧を心より祈念いたします。

浸水した住宅を復旧させるために兎に角大切なのが、「乾燥」「消毒」です。
この記事では、ウイルスや菌を滅し、カビの繁殖を抑えるための消毒方法を紹介します。
消毒する場所によって使う消毒液等の種類が違ってきますので一通りご確認ください。

(尚、記事中に記載の消毒液等の希釈の割合は、各製品の説明書に従ってください。)

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床下の消毒

床下が土の場合とコンクリートの場合に分けて説明します。

床下が土の場合

⇒ 消石灰(園芸用として販売されている粉末状のもの)を使います。

床下に流入した泥水には植物の破片や昆虫などの小動物が混ざっています。
これらの生命は死後腐敗すると共に周りの土を酸性化する方に働きます。
湿って酸性化(ph4.0-6.0)した土は、多くの種類のカビが繁殖するためには好都合という訳です。

元々の土に被った土(泥)を完全に取り除くのは不可能ですから、多少は床下に残ります。
これを無害なものにするために消石灰を使います。
農家の方や家庭菜園を楽しまれている方はよくご存知と思いますが、酸性化した土を中和するのに消石灰がよく使われています。

消石灰の「消毒効果」については疑問視する方もいますが、少なくとも酸性化した土の中和、つまりカビ対策としては有効と考えるため、ここで紹介しています。

  • 床下にまんべんなく散布します。
  • 刺激が強いため、散布した粉が皮膚についたり目に入ったりしないよう、長袖の服、マスク、ゴム手袋、ゴーグルを着用してください。
    また、風の強い日は散布を控えてください。
  • 生石灰(せいせっかい/きせっかい)は熱を発しますので使用しないようにしてください。

床下がコンクリートの場合

⇒ 塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)を使います。

コンクリート基礎の場合、流入した泥水を綺麗に取り除くことができます。
従って、消石灰でなく塩化ベンザルコニウムを使うと良いでしょう。

  • 水・泥を取り除き、水拭きを行ってから乾燥させます。
  • 希釈した塩化ベンザルコニウムを雑巾や布に含ませて拭くか、噴霧器で散布、乾燥させてください。
  • 塩化ベンザルコニウムは皮膚の刺激はほとんどなく希釈した液は手指の消毒にも適していますので特に手袋などの着用は必要としません。

家屋外側の消毒

⇒ クレゾール石けん液を使います。

  • 汚れを洗い流し乾燥させます。
  • 希釈したクレゾール石けん液をじょうろや噴霧器で散布します。
  • 刺激性が強い液体ですので、散布した液が皮膚につかないよう長袖の服、マスク、ゴム手袋の着用を心がけてください。
    また、風の強い日は散布を控えてください。
  • 有毒ガスが発生する事があるため、水以外の他の液体とは決して混ぜないでください。

家屋内側(床、内壁、家具など)の消毒

⇒ 塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)を使います。

  • 汚れを洗い流す、または水拭きを行ってから乾燥させます。
  • 希釈した塩化ベンザルコニウムを雑巾や布に含ませて拭くか、噴霧器で散布してください。
  • 塩化ベンザルコニウムは皮膚の刺激はほとんどなく希釈した液は手指の消毒にも適しています
    なので特に手袋などの着用は必要としませんが、床に残った破片や釘などによる怪我には十分気を付けてください。

流し台・シンク・浴槽・食器

⇒ 家庭用塩素系漂白剤(次亜塩素系ナトリウム)を使います。

  • まず水だけで泥を落としてから、通常の食器用洗剤/浴槽用洗剤などで洗浄します。
  • 次に、流し台、シンク、浴槽は、希釈した家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水で洗い流してください。
  • 食器は希釈した液に5分以上漬けてからよく水洗いしてください。
  • 皮膚への刺激を防ぐため、ゴム手袋を着用して行ってください。
  • 有毒ガスが発生する事がある為、水以外の他の液体とは決して混ぜないでください。

※脱色および腐食しそうなものは塩化ベンザルコニウムで代用してください。

各消毒剤の入手方法

消毒液や消石灰、噴霧器などは、被災者支援として無料配布/ 貸出をしている場合があります。
購入前に、市町村・県・保健所等に確認してみる事をお勧めします。

購入する場合は、薬局およびホームセンターなどで揃えることができます。
また流通が回復している場合は、下記Amazonからも購入頂けます。


<更新履歴>
2019/10/18 記事公開
2020/06/29 文言・構成の小変更


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