家屋の浸水により屋内に設置している家電が水没してしまった場合にどう対応すべきか?
電気が復旧したら動かしてみて良いのでしょうか?
危険は無いのでしょうか?
電機メーカーにおいて品質・信頼性管理業務の経験豊富な筆者(当サイト管理人)がお答えます。
水没した家電はどんな状態か?
まず物理的には、その家電製品の密閉程度にもよりますが、水および泥が製品内部に侵入してる状態です。
水や水分を含んだ泥は電気を通しますので、回路ショートを起こす可能性が非常に高くなっています。
もし稼働中に浸水した場合、回路ショートにより既に故障した状態になっている可能性が高いと考えたほうが良いでしょう。
電気が復旧したら動かして動作確認してみる?
前述の通り、浸水した家電は既に故障している、または通電することによって故障する可能性がある状態です。
確かに、故障しているかどうかは通電してみないと分からないと考えるのは自然なことです。
ですが、通電→電源ONした瞬間”バチッ!”といって故障する、最悪の場合発火することも考えられます。
まだ故障状態にはなっていなかったのに、通電した瞬間故障状態になってしまうかもしれません。
一般的に家電製品には大電流保護などの安全保護機能が搭載されています。
それはあくまでもどの方向からどんな敵が来る可能性があるか分かっているものに対して備えた「守備隊」です。
浸水した状態というのは、「敵」がどの方向から来るか分からないし、何者か分からない状態であり、前記守備隊では対処は困難なのです。
なので、浸水した家電は内部の状態確認および必要に応じてクリーニング・メンテナンスを行うまでは通電すべきではありません。
動けばラッキー?
この記事をご覧になった方の中に、浸水した家電製品に対して何もせず電源ONしてしまったけど、問題無く動いたからラッキー!と思われている方がいらっしゃるかもしれません。
ですが、故障は時間差で来る可能性もあります。
製品内部に侵入した「異物」(水や泥)は時間の経過と共に製品内部を腐食させ、しばらく使った後に故障するというケースも考えられます。
それが1か月後なのか1年後なのか分かりませんが、危険な状態であることに変わりありません。
浸水した製品が動いたからといって手放しで喜べることでは無いのです。
結局どうすべきなの?
通電・電源ONせずに、メーカーに相談してください。
基本的にこれしかありません。
修理メンテナンスに出すよう言われるかもしれませんし、買い替えを勧められるかもしれません。
メーカーの被災地支援を受ける
多くの大手電機メーカーでは「災害救助法」が適用された地域にお住まいの方でそのメーカーの製品が被害を受けた場合、特別修理対応を行っています。
被災地支援の一環としてメーカーが行っているサービスです。
通常修理料金より安い料金で修理・メンテナンスを行ってくれます。
(但し製品状態によっては買い替えを勧められるかもしれません)
詳しくは各社のホームページにてご確認ください。
メーカーサービスに期待できない時は
インターネットで買ったメーカー名もよく分からない製品。
ホームセンターで買った中国メーカーの電化小物。
保証書を見てメーカーや販売店に相談したけど、「保証対象外」「修理不可」として買い替えを勧められることも多いと思います。
その場合は、残念ですが潔く諦める、のが精神衛生上ベターと思われます。
後述する保険請求できるなら、新調するのも難しくないでしょう。
火災保険の活用
「火災保険」って、住宅の火災被害に備えた保険「だけ」と思っていませんか?
一般的な火災保険は、大雨による水害被害にも対応しています。
(注:地震による津波被害には対応していません)
加入されているのであれば、保険証券を手に保険会社に相談してみましょう。
住宅そのものの復旧や被害を受けた製品の買い替えにも力を発揮してくれるはずです。
<関連記事> 防災的見地から必要になる各種保険
<更新履歴>
2019/10/22 記事公開
2020/06/29 文言・構成の小変更