たまたま立ち寄ったDAISO(ダイソー)で見つけたモバイルバッテリー。
「え!100円のモバイルバッテリー!?」と驚きましたが、よく見るとその価格は1,000円(税抜)でした。。。
それでも安い!
・・・ちゃんと使えるんだろうか????
という訳で検証してみました。
※販売元やメーカーとは何の関係もない筆者(当サイト管理人)による独断と偏見が入った検証レポートです。
※注意:当記事は、100均店(DAISO)で販売されている特定の機種(P200)に対する検証レポートであり、100均店で販売されている全ての機種(これから新たに販売されるものも含む)を網羅したものではありません。
<関連記事> モバイルバッテリーの選び方
バッテリー容量の見方について説明しています。
こちらを先に見て頂ければ、本記事をスムーズに読み進めることができます。
製品の紹介
今回購入・検証した製品は、株式会社 ECoreが製造、DAISOが販売するモバイルバッテリー【P200】(税抜1,000円)です。
シンプルなパッケージ袋の中には、製品本体・充電用ケーブル(USB A – Micro USB)・取扱説明書の3点が入っています。
<製品仕様>
容量:10,000mAh 定格容量:6,200mAh
寸法:長さ137mm 幅67mm 高さ15mm
重量:224g
入力:5V2.1A Micro USB 1ポート
出力:5V2.1A USB A 2ポート合計2.4A 1ポート最大2.1A
それでは実際に製品を見ていきましょう。
機能レベル
今どきの急速充電規格であるQuick Charge(QC)やPower Delivery(PD)などの機能は持っておらず、一世代前の機能レベルですが、現在でも十分使えます。
但し充電スピードは遅いです。
- 出力ポート(USB-A)が2口あり、2台同時充電(合計2.4A)可。
(※同梱ケーブルは1本) - 4つのLEDランプで残量表示。
- 安全回路設計として、過電流対策・過電圧対策・過放電対策・回路保護対策がなされていると記載。
※安全回路設計については検証はしていません。
容量は仕様通りか
一部の中国メーカー製品などでは、表記容量と実際の容量がかけ離れているケースがあり、そのようなことがないか2つの方法で確認してみました。
テスターを使った容量測定
一度空にしたモバイルバッテリーを満充電まで充電した時に、どれだけの電流量を受け入れるか簡易的なテスターで測定しました。
結果: 8,588mAh
容量理論値を計算式にすると、
=バッテリー電圧値(3.7V) x 標準容量(10,000mAh) / 充電効率(80-90%) / 充電電圧(5V) = 8,200 – 9,250mAh
測定値がこの範囲に入っているので容量的には問題なしと判断しました。
多くの優良メーカー製品の実測容量もこの間(8,200 – 9,250mAh)に入っています(筆者測定記録より)。
実際にスマホに充電してみる
簡易的なテスターは多少の誤差が発生します。
一番安心できるのは、実際に自分のスマホをどれだけ充電できるか確認することです。
<使用スマホ>
モトローラMoto G8 Power Lite(内臓バッテリー容量5,000mAh)
1回目:開始時残 0% ⇒ 満充電完了 ( 5,000mAh)
2回目:開始時残 0% ⇒ 残56%で充電ストップ ( 2,800mAh)
充電回数:約1.5回 ・ 合計:7,800mAh
但し当該スマホは使用期間 約5か月ですので、既に内臓バッテリーの容量低下が始まっています。
スマホ内臓バッテリーの容量低下分をマイナス要因として考慮してもモバイルバッテリーの仕様上定格容量6,200mAh以上はあるものと判断しました。
結果、当テストでも容量の問題は確認されませんでした。
※前項のテスター測定と数字が違うのは、モバイルバッテリーを主体として見た時の入力か出力かの違いで、効率がプラス(入力)またはマイナス(出力)に働くのが大きな要因です。
また本テストで気になった点を1つ。
スマホ充電1回目完了時点でモバイルバッテリーの残量表示ランプが1つ消えました。
4つあるランプの内1つが消えたので25%程度使ったことになるのですが、スマホ充電2回目途中56%で、残りのランプ3つが1つ1つと消え空になりました。
つまり残量表示ランプはあまりあてになりません。
最初のランプが消えるまでに沢山充電できますが、その後は加速したように速く空になります。
但し残量表示についてはどのモバイルバッテリーでもそれほど正確ではなく目安程度の扱いです。
操作性・質感
USB-Aの差込口が少しかたく充電ケーブルの差込がスムーズにできませんでした。
部品のバラツキによるものだと思います。
また外装の見た目や肌触りは、一言で表せば「安っぽい」感じがします。
値段を考えれば、致し方ない部分かと思います。
安全面について
モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象製品となっており、2019年2月1日以降販売の商品は技術基準適合を確認した印である【PSEマーク】が表示されています。
当バッテリーにもPSEマーク表示はちゃんとありました。
(注:現在でもネット販売ではPSEマークが無い不法商品が販売されていますので気を付けてください)
PSEマークは最低限必要なものですが、それがあるから必ずしも安心という訳ではありません。
筆者は電機メーカーで長年品質保証・CSの仕事をしてきました。
モバイルバッテリーのような発熱・発火のリスクがつきまとう類の製品は安全性を担保するために十分な試験・評価・対策を行います。
製品価格1,000円という安価で作るには、これら品質保証プロセスのどこかに無理が生じるのではないかと懸念しています。
(※何の具体的根拠のない経験から来る懸念です。当該製品に問題があるとは言っていません。)
筆者としては、この懸念を払拭するには、後2,3年は当該メーカーの商品でリコール事故などが発生しないか様子をみたいと思っています。
製品保証
パッケージ袋および取扱説明書共に、製品の保証についての記載はありません。
なので製品保証(無料修理・交換規定)は無いと考えたほうが良さそうです。
(一般的なモバイルバッテリーは1年保証~)
強いて言えば、パッケージ袋に以下記述があります。
『本製品使用目的以外の使用に起因するなど、本製品の欠陥に基づかない損害については当社では責任を負いかねます。』
例えば、製品の欠陥により発火⇒家が全焼などのケースは責任を負うけど、製品の欠陥に起因しない場合は責任を負いません、と言ってます。
これは製品保証に関するものでなく、『製造物責任法(PL法)』に関する記述です。
勿論、製品保証有無如何に関わらず、初期不良などは販売店(DAISO)で交換対応してくれると思います。
まとめと考察
これまでの内容の要点は、
- 機能は一世代前のレベルだが、現在でも十分使える。
- 充電容量は定格値以上であり問題なし。
- 安っぽい質感。
- 安全面ではPSEマークあるも今後様子をみたい。
- 製品保証についての記載なし。
列記ポイントから総合的に考察すると、筆者としては、ここをご覧の皆様に(現時点では)お薦めできる製品ではありません。
NO.5のポイント(つまり売り切り商品)が気になります。
但し、自宅内での非常用備蓄(持ち歩かず停電対策として保管)として限定的な使い方なら経済的メリットを考慮して『アリ』だと思います。
※注意:当記事は、100均店で販売されている特定の機種(P200)に対する検証レポートであり、100均店で販売されている(これから新たに販売されるものも含む)全ての機種を網羅したものではありません。
以上、ご参考になれば幸いです。
<更新履歴>
2021/02/27 記事公開