スマートフォンをお使いの方にとっては必需品のモバイルバッテリー。
災害被害により停電が発生する場合には更にその重要性が増します。
この記事は、
・モバイルバッテリーを持っておらずこれから購入しようと考えられている方、
・既に持っているけど十分かどうか分からない方、
・そもそも必要かどうかも判断しかねている方
も含め、ご参考となるよう、お薦めメーカーや商品選びのポイントなどの必要な内容を盛り込みました。
※以下、「スマートフォン」を「スマホ」と略します。
モバイルバッテリーが新たに必要かどうかを見極める
恐らくモバイルバッテリーは十分に足りているとお考えの方は少ないと思います。
以下をご参考にしていただき、必要に応じてモバイルバッテリーを備えましょう。
※この時点で既に購入を決めておられる方は、次章「もし防くんお薦めメーカーのご紹介!」へお進みください。
これまで全く使っていない方
携帯電話が俗にいう「ガラケー」タイプをお使いの方は、モバイルバッテリーをお使いで無いかもしれません。
一度フル充電すれば数日は持つのですから、日常的にはその必要性はあまり感じないと思います。
では、大規模停電などの非常時はどうでしょうか?
情報収集や安否確認などのために携帯電話はフル稼働しなければなりません。
非常時はいつもの日常より電池を消耗します。
そして勿論、常にフル充電とは限りません。
突然停電した時に電池残り僅か、では悲惨です。
また停電が続けば、
いつ停電は解消されるのか?
携帯電話の電池は持つのだろうか?
とたちまち不安になります。
防災的観点からは、スマホに限らずガラケーをお使いの方も含めモバイルバッテリーは必需品です。
是非、これを機に購入しましょう。
既に持っているけど十分かどうか分からない方
お使いのモバイルバッテリーでどれ位充電できるか、既に使っている方は当然把握していると思います。
ご家族の分も含め、停電が続いても1週間程度は携帯電話を使える位を目安にすると良いでしょう。
(※日常の1週間分 → 非常時の3,4日分と計算)
不足があれば新たにモバイルバッテリーを購入して補います。
(「モバイルバッテリー容量の見方」について次々章で説明していますのでそちらも参考にしてください)
携帯電話以外にUSB充電式の懐中電灯やラジオをお持ちの場合は、そちらの充電も合わせて考慮すると良いでしょう。
もし防くんお薦めメーカーのご紹介!
市場には無数のモバイルバッテリーが存在します。
そのほとんどは聞いたこともないようなメーカー/ブランドばかり。
「多少高くても日本の大手電機メーカーのものが欲しい」という方も多いかと思いますが、残念ながら日本の大手電機メーカーではほとんどモバイルバッテリーを製造しておりません(一部の高額商品除く)。
もし防くん(筆者)はこれまで色々なメーカーのモバイルバッテリーを使ってきました。
そして今回の記事を執筆するにあたり、新たにいくつかのメーカーのモバイルバッテリーを購入し評価しました。
安全性、実際の充電容量、価格、機能、カスタマーサービス対応などから総合的に判断した結果として、独断と偏見も含め以下にお薦めメーカーを紹介します。
※勿論筆者が評価したことがない、または知らないメーカーも含め世の中には多数のメーカーがあります。これらを全て網羅することは不可能ですが、更にお薦めできるメーカーがありましたら、後に追加させていただきます。
お薦めメーカーその1:ANKER(アンカー)
2011年創業の米国のハードウェアメーカーです。
バッテリーを中心に、米国・日本・欧州など世界100ヶ国以上で事業を展開しています。
筆者のメイン使用モバイルバッテリーもANKER。
2013年から8年程使っていますが、容量の低下も少なく未だに現役です。
機能・値段・性能・品揃えともに申し分なく、お薦めNO.1のメーカーです。
お薦めメーカーその2:PHILIPS(フィリップス)
欧州では大きな存在感を放つオランダの大手電機メーカーです。
日本では男性用のシャーバーなどで馴染み深いメーカーですが、AED(自動体外式除細動器)やX線撮影装置などヘルステック分野のリーディングカンパニーとしてその名が知られています。
外国メーカーですが、大手ならではの安心感があります。
日本におけるモバイルバッテリーのカスタマーケアは代理店が行っていますが、当方が問い合わせした際にはしっかり対応頂きました。
現状製品数は限られていますが、機能・値段・性能ともに申し分ありません。
お薦めメーカーその3:cheero(チーロ)
日本の大阪を拠点とするテイ・アール・エイ株式会社という名のメーカーです。
『Cheero』はモバイルバッテリーを含むスマホ/タブレット周辺機器のブランド名。
国内メーカーである安心感、そして知る人ぞ知るモバイルバッテリー業界における優良ブランド。
経営者自らが語る『安全』に対するこだわりは評価に値します。
最新の安全規格PSEをクリアするだけではなく、自社独自の基準を設けて、さらに厳しく安全性を確認。
耐火実験や衝撃実験など数々のテストをクリアしたものだけを、みなさまに提供しています。引用元: cheero HP
その他比較的無難なメーカー
長期信頼性、日本におけるカスタマーサービス、等々の懸念が払拭できていないながらも筆者が現時点で無難と考えるメーカーを紹介します。
※「払拭できていない」とは、確認できていないの意です。
- RAV Power(ラブパワー)
- Zendure(ゼンデュア)
- ELECOM(エレコム)
2011年に米国で発足、モバイルバッテリーやUSB充電器などのメーカーです。
現在では数千万ユーザーが愛用するモバイルバッテリーの優良ブランドです。
筆者の普段使いモバイルバッテリーの一つとして4年程使っていますが、特に問題もなく現在も良好です。
2013年に米国で設立された充電機器のメーカーです。
いくつかの欧州の航空業者で該社モバイルバッテリーが航空機内でパイロットが利用する公式製品として採用されるなど、すでに日本を含め100か国以上で販売されています。
価格設定は若干高め。
筆者の評価テストでは良い結果を得られました。
日本の大阪に本拠を構えるPC周辺機器メーカーです。
該社のキーボードやマウスを使ったことがありますが、「値段が安く品質もう一つ」というのが正直な感想。
今回該社のモバイルバッテリーを評価したところ、上々の結果だったことから「無難なメーカー」として紹介しました。
間違い無い商品選びのポイント
お薦めメーカーの製品ラインアップを見ると沢山の商品が並んでいます。
どれを購入すべきか悩むところ。
以下の各項目を確認の上、実際の商品選びをしてみましょう。
モバイルバッテリー容量の見方を理解しておきましょう
製品パッケージや通販の商品名に[XXXXXmAh]と表示されているのがモバイルバッテリーの仕様上の容量です。
そして詳細説明は省きますが、仕様上の容量がそのまま100%スマホなどに充電できるわけではありません。
実際は、6割程度です。
例えば、容量10,000mAhのモバイルバッテリー(MB)であれば、6,000mAh程度が実際に使える容量。
容量が2,000mAhのバッテリーを内蔵するスマホ(SP)であれば、約3回(=6,000/2,000)フル充電できることになります。
上記を計算式にすると、
[充電回数]=[MB仕様上の容量]x0.6 ÷ [SP仕様上の容量]
となります。
仮にお使いのスマホがフル充電状態で丸々1日持つなら、3回フル充電できるということは、プラス3日スマホが使えるということ。
既述していますが、バッテリー単体で、または複数のバッテリーを合計して1週間程度は持つ位の容量が欲しいところです。
※お使いのスマホ・携帯電話のバッテリー容量は、「機種名」+「バッテリー容量」でググると分かります。
補足:[mAh] と [Wh] の違いと変換計算方法
モバイルバッテリー容量を表す単位としては多くのケースで[mAh](ミリアンペアアワー)が使われています。
日本の家庭コンセントの電圧である交流100Vを取り出せるタイプのモバイルバッテリーなどでは、[Wh](ワットアワー)が使われることもあります。
それは電流量[mAh]で表すか、電力量[Wh]で表すかの違いです。
またモバイルバッテリーの飛行機内持ち込みについて、航空各社は制限を設けています。
※基本、預け入れ不可。機内持ち込みに限り、その容量により可。
ホームページなどで各社の制限内容を見ると、モバイルバッテリー(リチウムイオン電池)の容量表記では[Wh]が使われていますので、手持ちのモバイルバッテリーの容量が何Whなのか、計算する必要があります。
と言っても簡単です。
下記計算式に当てはめて計算してみてください。
モバイルバッテリー容量[mAh] ÷ 1,000 x 3.7 = モバイルバッテリーの容量[Wh]
例1:10,000mAh → 37Wh
例2:20,000mAh → 74Wh
入力と出力のコネクタ形状を確認しましょう
モバイルバッテリーには、ACアダプタなどから自身を充電するための入力ポート(IN)とスマホなどの他の機器を充電するための出力ポート(OUT)があります。
それらコネクタ形状を確認し、形の合ったケーブルを用意する必要があります。
以下、実際の製品の写真を見てみましょう。
上の製品には、2つの出力ポート(赤枠)と1つの入力ポート(青枠)があります。
コネクタの形状は、出力ポートが[USB Type-A]でパソコンには必ず付いている馴染み深い形です。
一方、入力ポートは[Micro USB]というより小型のもの。
これまでのモバイルバッテリーは、この組み合わせ(出力=USB A / 入力=Micro USB)が主流でした。
しかしながら、後に紹介する【QC】や【PD】などの新しい充電技術の登場により、モバイルバッテリーに装着されるコネクタの種類が変わりつつあります。
下の写真をご覧ください。
左側のUSB Type-Aコネクタが出力専用、右側は[USB Type-C]より新しい規格のUSBコネクタであり、この製品の場合出力と入力を兼ねています。
今後は、出力・入力共に[USB Type-C]コネクタが主流になっていくものと考えられています。
適切なケーブルを用意する
以下2つのケーブルが必要になります。
A: 携帯電話/スマホを充電するたのケーブル
B: モバイルバッテリーを充電するためのケーブル(ACアダプタと接続)
iPhoneの場合、2種類のケーブルが必要になりますが、Androidスマホの場合コネクタ形状により1種類のケーブルで済む場合があります。
<iPhoneの例>
※ガラケーでACアダプタとケーブルが一体になっているもの(付属品)をお使いの場合は、新たに単品ACアダプタとケーブルが必要になります。
【QC】と【PD】とは?
モバイルバッテリーの商品説明を見ていくと、QCやPDといった見慣れぬワードを目にすることがあります。
それぞれを説明しますと、
QC: Quick Chargeの略で、Qualcomm社(クアルコム)が開発した新しい給電規格です。
現在の最新バージョン3.0は最大18Wの出力で電力供給を行うことができます。
PD: USB Power Deliveryの略で、USB Type-Cに対応した新しい給電規格です。
従来型が5Wであるのに比べ最大100W(20Vx5A)、つまり20倍大きな電力供給を行うことができます。
つまりQCもPDも充電を更に速くするための新しい給電規格であると覚えてください。
但しこれら新しい給電規格は、電力送り側であるモバイルバッテリーだけでなく、受け取り側のスマホ・携帯電話および送電路であるケーブルも対応必要(の場合があります)。
未対応の場合、十分な性能を発揮することができません(つまりあまり速く充電できません)。
『Made in China』は気にする必要はない
モバイルバッテリーの世界では、日本のメーカーであれ、欧米のメーカーであれ、ほとんどの製品は中国生産『Made in China』です。
なので中国生産を排除すると選択肢がかなり限られます。
実際、多くの中国生産モバイルバッテリーを使い・評価して、『中国メーカーの中国生産』製品を除き大きな問題・不具合に直面したことはありません。
生産地を気にするのではなく、メーカーを気にするべきと考えます。
そのために前章でお薦めメーカーを紹介しています。
粗悪品にご注意!
勿論、この記事で紹介しているメーカー以外は全てダメということではありませんが、市場にはその他多くのメーカー・商品が存在しています。
筆者が商品評価を行う中で、仕様容量に対して実際の容量が著しく少ない商品(中国メーカー・中国生産)がありました。
容量面で怪しい製品があれば、そのレベルの製品を作るメーカーそのものが信用できません。
「まあ、安いし仕方ないな」で済まないのがモバイルバッテリーです。
それは安全面での不安が生じるからです。
製品の安全面における「作りこみ」に疑念を感じるメーカーのものを使えますか?
モバイルバッテリーは、その構造上、発火・爆発しやすい、とてもデリケートな特性を持っている機器です。
実際に多くの事故が発生しています。
モバイルバッテリーを筆頭に、リチウムイオンバッテリーを搭載した様々な製品で事故が発生しています。2013年度から2017年度の5年間にNITE(ナイト)に通知された製品事故情報では、リチウムイオンバッテリーを搭載した製品の事故は582件ありました。
自らが事故を発生させないためにも落下衝撃を防ぐなどの取り扱いに気を付ける他、メーカー選びも慎重に行う必要があるでしょう。
以上、参考になりましたでしょうか。
良いと思われましたらシェアお願いいたします。
<更新履歴>
2021/1/30 記事公開
2021/4/17 「補足:[mAh] と [Wh] の違いと変換計算方法」追記。