ボランティアのリーダーTOP写真

災害ボランティアでは、多くのケース数名~十数名の班で行動します。

従って、班のまとめ役である班長・リーダー(以降「リーダー」)が必要になります。

団体で参加する場合は、その団体内で予めリーダーを決める場合が多いでしょう。

個人参加の場合、現地ボランティアセンター(以降「ボラセン」と略)で集められた同様他の個人参加の人達と班が編成され、自薦・他薦またはボラセン側の音頭などでリーダーが決められます。

多くのケース、班内において自ら率先してリーダーをやります!という人はおらず、好む好まずに関わらず、意図せず「リーダーになってしまった・・・」と、なってから焦ることになります。

この記事は、
リーダーになってしまった、何をしたらいいの?」と焦っているリーダーの方、
リーダーに指名されるかもしれないから備えておこう」とお考えの方、
リーダーにならなくてもリーダーのサポートをしてあげたい」とお考えの方も含め、
参考になるように、その役割・心得などをまとめました。

全く時間の無い方は、とりあえず次の目次の内容だけでも把握しておきましょう。

編成された班を統率する

班を統率する!って、当たり前のことですが、具体的に何をしたらよいのでしょう?

会社で部下を率いて仕事をしている人、学校などで部活動の部長をしたことがある人、などはイメージを掴めるでしょうが、そういう経験がない人は、ピンと来ないかもしれません。

以下、具体的にやるべきことを説明していきます。

自己紹介とメンバー紹介

多くのケース、班にはお互い知らない者同士が集まります。
なので、リーダーとしての最初の作業は、自己紹介とメンバー紹介です。

ポイントは、円陣で立ち、各自が全員の顏を見れるようにすること。

まずはリーダーが名前(苗字だけでよい)、どこから来たか(都道府県程度)、災害ボランティアの経験、などを簡単に話します。
続いて、リーダーの右または左隣の人を促し、順に同様に自己紹介してもらいます。

この時、自慢の様に事細かく過去の経験を話す人がいますが、時間はあまりありませんので、必要に応じて「簡潔に」と自己紹介の終了を促します。

行動段取りの説明

ボラセンからの指示事項(作業内容、段取り、注意事項など)を5W1Hに整理してメンバー説明します。

以下、猛暑の中で作業を行うケースの例です。

”それでは、ボラセンからの指示事項を説明します。”
”今日訪問するのは、ここから500m程離れた一軒家住宅です。”
”家屋に入り込んだ土砂を外に運び出すのが依頼の仕事です。”
”この後、必要な道具・資材類を準備し、それを持って、徒歩で現地に向かいます。”
”現在10時10分ですから、10時半頃には現地入り、途中休憩・昼休みを挟み、午後3時まで作業を行います。”
帰りも行き同様徒歩でここまで戻ってきます。”

”尚、注意事項ですが、この猛暑の中、何人ものボランティアが熱中症で病院に運ばれているそうです。”
”そうならないように、こまめな水分、塩分の補給を徹底してください。”
(ここで食料、飲料などの不足がないか各自に確認します)
作業は20分毎に10分の休憩を入れるようボラセンから指示がありました。”
(ここで必要に応じて「タイムキーパー」の役割依頼を行う)
”途中で気分の悪くなった方は絶対に無理をせず、リーダーまで連絡ください。”

そして、最後に質問を受けると良いでしょう。

以上は、まだボラセンにいる段階での説明をイメージしていますが、必要に応じて現場着いてからも追加の内容+同じ説明(特に注意事項)をすると良いでしょう。

ここまで来ると、各自が自分のやることが明確になって、このメンバーでがんばるぞ!という意識が芽生えてくるでしょう。

注意事項の徹底

上の具体例では、熱中症予防について書きましたが、ボランティア作業にはいくつもの注意事項が必ず存在します。

それらを徹底することが、安全に、トラブル無く、活動を終えるために必要なのです。

リーダーとして、メンバーがルールを逸脱しないよう注意事項の徹底、管理を行います。

その時の注意事項はボラセンから指示がありますが、一般的な注意事項については、以下のページも合わせてご覧ください。

<関連記事>ボランティア活動中に注意すべき8つのこと

役割分担を決める

役割分担といってもリーダー+その他メンバーでは?と思われるかもしれません。

ですが、実際はケースに応じてリーダー以外の役割分担が決められるケースもあります。

以下、具体的な例(事前に決めておくもの)を挙げます。

  • タイムキーパー
    猛暑での作業では、作業時間の厳守が必要になってきます。
    そんな時は、タイムキーパーを決めて、その人の合図で作業開始・休憩・終了をします。
  • ドライバー・運転手
    作業場所がボラセンから遠い場合は、ボラセンで用意した車に乗って現地に向かう場合があります。
    その場合は、免許証所持を確認の上、ドライバーを決めて行き帰りともにその人に運転してもらいます。
    ※ボラセンが送迎してくれるケースもあります。
  • 道具管理担当
    ボラセンから持ち出す道具類は、作業終了後、しっかり数を確認して不足が無いよう返却する必要があります。
    なので、比較的班の人数が多い(つまり持ち出す道具の数が多い)ときは、何を何個持ち出すのか、それを管理する道具管理担当を決めると良いでしょう。

また作業の中でも老若男女や技能・経験を見て、作業役割を調整します。

例えば、
女性 ⇒ 重たいものを運ぶような仕事でなく、清掃を中心とした軽作業をしてもらう。
電気工事士資格保持者 ⇒ 電気配線関係の処理をしてもらう。
そんな感じです。

ボラセン対応

メンバー各々が好き勝手にボラセンと話をしては、現場が混乱します。
なので通常、ボラセンでは、班のリーダーとだけ話をします。

リーダーは、ボラセンから依頼内容・段取り・注意事項などを確認します。

そして作業終了後、ボラセンにその結果を報告します。

また緊急時など必要に応じてボラセンに電話をして、指示を仰ぎます。

安全作業の徹底

班のメンバー全員が依頼された作業を行い、無事活動を終えるために、安全作業を徹底する必要があります。

リーダーの役割として重要なものと言えるでしょう。

  • メンバーが危険な場所に近寄らないようにする。
  • ヘルメット/帽子、安全靴/踏み抜き防止インソール、ゴム手袋など、各自がその現場で必要な装備をもって作業しているか確認する。
  • 水分・塩分をこまめに取るよう声掛けする(熱中症予防)。

等々、臨機応変に対応します。

<関連記事>災害ボランティアで必要な服装と持ち物

救護対応

作業現場では危険がつきものです。
割れたガラスで肌の露出しているところを切ったり、飛び出た釘が刺さったりと、
無いに越したことは無いですが、大小ケガをすることがあります。

メンバーがケガをした場合は、率先してその救護にあたりましょう。
また必要に応じて、ボラセンに電話してその指示を仰ぎます。

ケガではありませんが、熱中症の場合、口数が少なくなる、反応が鈍い、などの予兆が現れる場合があります。
リーダーは、メンバーの顔色を時々確認し、必要に応じて声掛けすると良いでしょう。

<関連記事>酷暑・猛暑における災害ボランティア作業で注意すべき4つの事

ボランティア依頼者対応

作業場所に、依頼者である被災された方がいらっしゃる場合とそうでない場合があります。

いらっしゃる場合は、挨拶し、ボラセンから派遣されてきた旨を話します。
挨拶が済んだら、依頼内容の確認、その日の段取りの説明を依頼者に行います。
そのお宅のトイレが使えるかどうかもその時に確認しておくと良いでしょう。

また、作業途中に依頼者がやってほしい細々したことがあったら、自分に言うよう話しておきます。

作業後は、できたこと、できなかったこと、を簡潔に報告し、全員揃って挨拶して現場を離れます。


<更新履歴>
2019/01/23 記事公開
2020/06/26 文言追加等の小変更