ボランティア活動保険TOP写真

災害ボランティア活動を行う上で必要不可欠なのが、ボランティア活動保険に加入すること。
活動中にケガをしてしまったり、他人(被災者含む)の財物を壊してしまい損害賠償を要求されたり、といろいろなリスクが生じます。
これらリスクをカバーし、安心してボランティア活動を行うために存在する保険なのです。

この記事では、ボランティア活動保険に加入できる人・補償内容・保険料・加入方法・保険期間・保険金支払い対象事例・保険金が支払われない事例、などを詳しく紹介します。

加入すべき人⇒加入できる人

各地の災害ボランティアセンターでは、ボランティア活動保険に加入していない参加者を受け入れてくれません。
(大規模災害特例が適用されている被災地の災害ボランティアセンターでの加入も可能ですが、事前加入が好ましい)

また、この保険に加入できるのは、「社会福祉協議会で、把握または登録(届出または委嘱等の手続きを得ている)している社会福祉協議会の活動趣旨に準じたボランティア活動を行うボランティア団体、個人」。

つまり、これから災害ボランティア活動を行おうとしているあなたは、「加入すべき人」であり、「加入できる人」でもあります。
最寄りの社会福祉協議会に出向き、ボランティア活動の届出および保険加入手続きを行えば良いわけです。

ボランティア活動の種類により、補償対象外になることもある

補償対象となるボランティア活動

  • 自発的な意思により他人や社会に貢献することを目的とし、日本国内で取り組まれる活動であること。
  • 所属ボランティア活動団体の会則に則り、企画立案された活動や社会福祉協議会へ届け出たり、社会福祉協議会の委嘱を受けた活動であること。
  • 無償の活動であること(交通費、食事代などの必要経費実費支給は無償の範囲になります)。

ボランティアバスツワーなどで、主催者(市町村など)が交通費を負担するケースがありますが、これは無償の範囲に含まれるので、ボランティア活動保険の補償対象となります。

補償対象外のボランティア活動

無償の災害ボランティア活動を行う皆様には関係ありませんが、補償対象外の活動もありますので、列記しておきます。

  • 有償(報酬を受け取る)の活動
  • 自己の利益を直接の目的にした団体構成員の相互補助や親睦の活動
  • PTA、自治会、町内会、老人クラブなどボランティア活動以外の目的で作られた団体・グループが行う組織運営や団体構成員の親睦のための活動
  • 海難、山岳救助ボランティア
  • 野焼きまたは山焼きを行う森林ボランティア
  • チェーンソーを使用する森林ボランティア
  • インターンシップ等や資格、単位取得を目指した活動
  • 銃器を使用する害獣駆除ボランティア

補償内容と保険料

各地の社会福祉協議会によって複数の種類が存在

実は、各地の社会福祉協議会にて独自の補償内容および保険料を設定している場合があります。
詳しくは、最寄りの社会福祉協議会のホームページを参照するか、電話等でお問い合わせください。

以下に、「共通プラン」と言うべき全国社会福祉協議会のボランティア活動保険について説明します。

共通プランの補償内容

※令和3年度の補償内容は令和2年度と変わりありません。

共通プランは、活動中の天災起因によるケガを補償しない「基本プラン」と補償する「天災プラン」の2種類があります。

※「活動中の天災起因」とは、例えば、地震被災地でボランティア活動中、大きな余震により屋根から瓦が落下、負傷した場合などです。

<令和3年度>

ボランティア活動保険の補償内容キャプチャ(年度無)
(出展)「ふくしの保険」サイトより

各プランの補償は、大きく分けて「ケガの補償」と「賠償責任の補償」の2種類がセットになっています。
賠償責任の補償とは、ボランティア活動中に自らの行動(作業等)に起因して、他人の財物を壊したり、他人にケガ負わせてしまったり、した結果、あなたが法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。

他人を助けるためのボランティア活動で当保険が適用されるようなケースは起こってほしくありませんが、安心して活動を行うためにも必要な保険であることがわかります。

※災害ボランティア活動中に新型コロナウイルスに感染した場合の入院・通院費用などについても補償対象になります。(2020/02/01より)

共通プランの保険料

加入は1名につき、いずれかのプラン1口となります。

基本プラン 天災プラン
350円 500円

たった150円の違いですので、「活動中の天災起因」のケガも補償する「天災プラン」がお薦めです。

※中途加入でも保険料に変わりはありません。

保険期間・補償開始タイミング

保険期間の最終日は決まっている

保険期間は、4月1日~翌年3月31日の1年間です。
中途加入の場合は、加入日がいつであろうと、次に来る3月31日が保険期間の最終日となります。

尚、3月31日で保険期間は終了しますが、終了のお知らせハガキが来ることもありませんので、ボランティア活動を継続する意思を持った方は、再度加入手続きを行ってください。

補償開始タイミング

申込日(加入手続き完了日)翌日0時から補償開始します。

※基本的に申込日当日は、補償されませんので、出発日前日より前に加入手続きをするようにしましょう。

※期間内であれば、なんどボランティア活動を行っても全て補償されます。

補償開始の特例

大規模災害特例が適用されている被災地の災害ボランティアセンターで加入した場合は、申込日当日から補償されます。
但し、災害ボランティアセンターは混乱しているケースが多く、保険加入手続きに余計な時間を消費して正味の活動時間が短くなっては残念すぎますので、この特例には頼らず、事前に加入するようにしましょう

加入方法と解約について

加入手続きはカンタン!

最寄りの社会福祉協議会を訪れ、備え付けの加入申込書に記入、保険料を添えて提出するだけです。

社会福祉協議会は、全国どの市町村にもあります。
「〇〇〇(市町村名) 社会福祉協議会」で検索するとすぐ見つかります。

※社会福祉協議会の所在地以外の場所・施設で加入受付を行っている場合もあります。事前に確認するようにしましょう。

※インターネットによる加入はできません。

<関連記事>ボランティア活動保険に加入するなら早いほうが良い!

解約と解約返れい金

予定していた災害ボランティア活動が中止になるなど、保険が不要になった場合でも解約による保険料の返れい(返金)はありません。
つまり、解約する必要は無いし、加入した瞬間掛け捨てしたと考えるしかありません。
保険料は安価なので、あまり気になることではないと思います。

変更・譲渡は不可

保険期間途中で、加入プランを変更できません。
また、当保険を他人に譲渡できません(譲渡しても無効)。

「万が一」が発生したら

社会福祉協議会に連絡

万が一の事故が起こったら、加入証または加入カードに記載されている加入手続きを行った社会福祉協議会に電話連絡します。
できるだけ冷静に、事故の状況を伝え、相手の質問に答えるようにしてください。

ケガ等により自分自身による連絡が難しければ、ボランティア活動を共にしている班のリーダーにお願いし、連絡するようにしましょう。

保険金支払い対象事例

補償内容は、都道府県の社会福祉協議会により異なる場合があります。
以下の事例は、共通タイプで確認したものです。
(支払われない事例も同様)

  • 災害ボランティア活動中、釘を踏み抜きケガを負い、通院した。
  • ボランティア活動に向かう途中、交通事故にあって亡くなった。
  • 活動中、食べた弁当が原因で食中毒になり、入院した。
  • 真夏の作業中、熱中症にかかり、入院した。
  • 浸水した財物を家屋から運び出す作業中、捨てる予定になかった家具を破損させてしまった。
  • 自転車で被災地に向かう途中、誤って子供にケガを負わせた。
  • 地震被害の被災地で活動中、大きな余震が発生、落ちてきた瓦があたりケガをした。(天災タイプのみ)

保険金が支払わない事例

  • 同じ班のメンバーの態度が悪いからと殴ってケガを負わせてしまった。
  • 作業中、突然の持病発作により昏倒、救急車で運ばれ入院した。
  • 車でボランティア活動に向かう途中、他人をひいてケガを負わせた。(自動車保険で対応)

まとめ

最低限これだけ覚えておけば大丈夫!、というものをまとめました。

  • 加入は、事前に、最寄りの社会福祉協議会で。
  • 補償は、活動中・移動中のケガ・病気(熱中症+新型コロナ等)と賠償責任。
  • 天災プラン(=基本プラン+活動中に発生した地震、噴火、津波によるケガ)がお薦め
  • 保険料は安価(全国ほとんどのプランで1000円以下)。
  • 保険期間中のボランティア活動の数に制限なし。
  • 保険期間は1年(4/1-3/31)但し、中途加入でも最終日と保険料は変わらず。
  • 事故が発生したら、加入した社会福祉協議会にただちに連絡。


<更新履歴>
2018/08/29 記事公開
2020/06/26 補償内容等を令和2年度版に変更。新型コロナウイルス感染の取り扱いを追加。
2021/04/23 令和3年度版に変更(令和2年度版から変更無し)。