震度5強を超えるような大きな地震が発生した場合、緊急車両を優先させるため、一般車両の通行規制が実施される可能性があります。
または道路や信号機の被害により通行が妨げられることもあるでしょう。
災害発生時には様々な要因により大渋滞に巻き込まれ、車内で長時間身動きが取れなくなるリスクが付きまといます。
この記事では、災害発生後の急場(数時間~2日間程度)の困難を乗り切るための『車用防災セット』導入について説明いたします。
本記事がご参考になれば幸いです。
※住宅被害による車中泊生活まではカバーしていません。
『困難』の種類と時間
車内で長時間身動きが取れなくなる場合、どのような困難があるのでしょうか。
分かりやすい言葉で表してみましょう。
- トイレに行けない困難
- 喉が渇く困難
- 空腹に耐える困難
- 通信が途絶える困難
- 情報入手が困難
- 暗闇で見えない困難
- 寒さに耐える困難
これら困難が数時間~2日間程度続くと考えたら、相当辛いものであることが容易に想像できるでしょう。
車用防災セットに必要なもの
次に、具体的にどのようなものが必要になるか説明していきます。
車内の人数は1-2人を想定しています。
ペットボトル水
災害発生時、断水し、近くの小売店で水を買うこともできなくなる場合があります。
水は、500mlペットボトル2本程度を用意しておきましょう。
また半年ごとに消費→補給するローリングストックがお薦め。
その場合、普通にスーパーなどで買える水で充分です。
※冬季に凍る可能性がある地域では、比較的丈夫なタイプのペットボトルで更に水を少し抜いておくと良いでしょう(凍結・破裂防止)。
非常食
特に夏場、車内は高温になる場合があります。
高温環境でも劣化や腐敗しない食料が必要になります。
お薦めは、写真のような非常用ビスケット、乾パンなどです。
完全に乾燥しているので、多少の高温でも劣化したり、また腐敗することもないでしょう
レトルト食品や缶詰もそもそも製造段階において高温殺菌しているので、多少の高温でも問題無いものと考えます。
※但し「高温OK」としている非常食は少ないのです。
ある程度は自己判断で決める必要があります。
※高温で溶けやすいチョコレート類・アメ類は、お薦めできません。
※「カロリーメイト」も製造元に問い合わせしたところ、高温になる車内保管には向かないとのことでした。
USBカーチャージャー
安否確認や情報収集、報告などでスマホや携帯電話は長時間酷使されます。
するとたちまちバッテリー残量が気になります。
車内においては、オーディオ等からUSB充電できる場合を除き、シガーソケットに差し込みUSB充電できるようにするチャージャーを用意しておきましょう。
※チャージャーとスマホ/携帯電話を繋ぐ充電用ケーブルも合わせて用意してください。
※車のバッテリーは2年毎(製品によっては3年毎)に交換しましょう。
保温シート
特に冬場は大変寒くなります。
地域によっては夏の夜でも肌寒く感じます。
保温シートは一枚用意しておきましょう。
お薦めは、カサカサカサと耳障りな音を出さないタイプのもの。
※写真商品のサイズ:収納寸法11x8x2.5cm(折り畳んだハンカチ位)、展開寸法130x210cm
※「レスキューシート」「サバイバルシート」「アルミシート」など商品によって名前は異なります。
使い捨てカイロ
冬や晩秋は寒くなるので、エンジン停止時の暖房が必要になります。
使い捨てカイロを2-4個程度用意しておきましょう。
各社「貼るタイプ」と「貼らないタイプ」の2種類を販売しています。
「貼るタイプ」は便利ですが、同社製品の「貼らないタイプ」に比べて持続時間が少し短いのが一般的です。
グローブ/手袋
被災により建造物の破片や石・木などの自然物で進路が塞がれる場合があります。
少々危険なものを掴んで除ける時など、グローブや手袋を用意しておくと役に立ちます。
お薦めは写真のようなラバータイプのもの(軍手はお薦めできません)。
携帯トイレ
渋滞続きで長時間車内から離れられないケースが想定されます。
また特に女性の場合は、簡単に用を足すわけにもいきません。
携帯用トイレを用意しておきましょう。
多くのケース小用に対応できれば大丈夫ですが、大小兼用のものもありますのでお薦めです。
紙とペン
交通の流れが完全に停止した時など、一時的に車を道路脇に駐車して、自らは車から離れる様なケースも想定されます。
そんな時に、車のダッシュボード等に自分の連絡先や状況などを書いて置いておくと良いでしょう。
紙とペンがあれば、非常時の色々なケースにおいて役に立ちます。
ティッシュペーパー
車内に常備している方も多いと思います。
もしそうでなければ、せめて車用防災セットにいくつかのポケットティッシュを入れておきましょう。
またウェットティッシュも役に立ちます。
車用防災セット収納用の箱
車用防災セットを一まとめに収納する箱が必要になります。
容量は15L程度あれば多くのケース間に合います。
お薦めは車内の過酷な環境にも適したRV-BOXです。
※できれば管理しやすい様に、他の車用グッズを収納した箱とは別に用意しましょう。
追加の非常食・飲料水(オプション)
車の積載スペースや収納箱に余力がある場合は、少し多めに非常食や飲料水を備蓄しておくのもアリです。
本記事では「必要最低限」のアイテム・量、つまり1-2人分を想定していますが、人間が持ち歩くわけではないので多少多めにしておくと安心度が増します。
また何も持っていない他人を助けることができるかもしれません。
もの選びのポイント
安いものは「イザという時に役に立たないのではないか?」と不安になります。
かと言って、全部のアイテムを最高品質のもので揃えたら、どれだけお金が必要になるでしょうか。
車用防災セット作りは、あなたがやるべき防災対策の一つに過ぎません。
一部のリッチな人を除いて限られた予算内でやるべきことです。
「値段」と「品質・性能」のバランスを取ることが大切です。
商品販売サイトの口コミなどを参考に、あなたにとっての最適なラインを見つけてください。
もう一つのポイントとして、高温化の劣化が少ない商品であることが重要です。
商品スペックで保管条件を確認しましょう。
スペックの記載がない商品の場合は、実際の高温化で変化がないか確認してみることが重要です。
電池および電池式アイテムの車内保管について
モバイルバッテリーや乾電池などの電池は、車内保管を推奨されていません。
真夏の炎天下では、車内は高温になります。
高温状態での保管により、電池の性能が低下したり、液漏れが発生する場合があります。
また最悪のケース、破裂や発火する危険性もあります。
防災セット『メンテ管理表』の運用
どの防災セットにも言えることですが、「一度用意してしまえば後は何もする必要が無い」ということはありません。
ここで紹介している車用防災セットにしても、非常食・飲料水のローリング、ペンが書けるかの確認などなど、『定期メンテ』が必要なものがあります。
そこで定期メンテを管理しやすいように、管理表を作りましたのでご活用ください。
A4サイズで印刷し、クリアホルダーなどに挟んだ状態で防災セット収納箱に入れておくと良いでしょう。
クリック ⇒ 車用防災セットメンテ管理表と記入例(ver2.0)を開く。
※2ページ目は記入例になっています。
<更新履歴>
2020/03/20 記事公開
2020/05/05 モバイルバッテリーを削除(真夏炎天下の車内保管上、安全性に問題があるため)/電池式アイテムの削除(乾電池メーカーが車内保管を推奨していないため)/USBカーチャージャーの追加(上記アイテムの代替案として)/「電池および電池式アイテムの車内保管について」説明追加