宇野樹さんインタビュー記事アイキャッチ

タレントとして雑誌やTVで活躍されている宇野樹さん。ご自身やご家族の日常だけでなく、今年5月に飼い始めたトイプードルのトロちゃん、そして最近になって家族に加わったエマちゃんの姿を垣間見られるTwitterやInstagramも好評です。

そのSNS上で、マイクロチップの挿入と登録の大切さに言及していらっしゃったこと、また2匹の愛犬に対して愛情深く責任を持って日々接していらっしゃる様子を拝見し、ぜひペット防災に対する考えをお聞きしたいと思ったのが、今回のインタビューをお願いする事になったきっかけです。

突然の申し出を快くお受けくださった宇野さんに、愛犬という「家族」を守ることの大切さについて伺いました。

<宇野樹(うの いつき)さん プロフィール>
2002年1月8日 愛知県名古屋市生まれ。
15歳からモデルを始める。
その一方で陸上ホッケー選手として過去には中日本のジュニアユースの日本代表にも選ばれ、高校では愛知県の代表チームのキャプテンを務めるなど、選手としても将来を有望される。
現在は大学で陸上ホッケーを続けながら、タレント活動やテレビ番組出演などで活躍中。

著書に『兄・宇野昌磨 弟だけが知っている秘密の昌磨』(マガジンハウス)。

本インタビューは2020年9月28日に名古屋市内で行われました。
また、インタビューの際には、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、検温/ アルコール除菌/ アクリル板衝立の設置/ ソーシャルディスタンスの確保/ 室内の換気/ 写真撮影時以外のマスク着用などの対策を行っております。

「ペット防災」は高校の授業で

―― 今日はありがとうございます。大学での授業の後、こちらにいらしていただいたんでしょうか。

宇野さん(以下敬称略):いえ、授業はまだオンラインなんです。ただ週5日、陸上ホッケーの部活があります。

―― 確かに日に焼けていらっしゃいますね。

宇野:日焼け止めを塗っても汗で落ちちゃうんです。グラウンドに日陰の場所がなくて(笑)。

―― 勉強そして部活とでお忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございます。そういえば昨日地震がありましたが大丈夫でしたか?

宇野:名古屋は震度2だったので、外出していたら気づかなかっただろうと思うんですけど、僕は家にいたので「あ、揺れたな」とは感じました。
うちは地震などに強い造りになっているんですけど、そういう家って逆に揺れを感じやすい構造になっていますよね。なので、揺れたのはわかりました。

宇野樹さんとエマちゃん1

―― ご自宅自体が揺れに強い構造になっているというのは安心ですね。その時、2匹のワンちゃんはどうでした?

宇野:トロもエマも家にいなかったんです。今日の撮影のために綺麗にしてもらいに行っていたので(笑)。

―― そうだったんですね(笑)。ここからが本題なのですが「ペット防災」という言葉を聞いたことはおありでしたか?

宇野:はい、言葉自体は高校の時の保健の授業で習っていたので知っていました。

―― 高校の授業で!それはちょっと意外でした。

宇野:災害に遭った時にどうやってペットを守るか、というような内容でした。教科書には小さく載っているだけだったんですけど、先生が動物系の保健などもいろいろ教えてくださる先生だったので。

トロとエマのマイクロチップ

―― そういう知識を既にお持ちだったこともあって、今回トロちゃんエマちゃんのマイクロチップとワクチンのスケジュールを組まれたんですか?

宇野:トロのマイクロチップ自体は、実は防災がきっかけではなくて。トロはもうすぐ兄の練習拠点のスイスに行くんです。そのためにはマイクロチップの挿入が必要と聞いていろいろ調べていた中で、渡航するにはワクチン接種も義務だと知りました。
海外に行く事がないペットでもマイクロチップがもうすぐ義務化されるという事をお世話になっている動物病院で聞いたのと、災害などで万が一迷子になった時にもマクロチップを登録していると戻ってくる確率が高いということもあって、エマにもマイクロチップの挿入とその登録を動物病院でお願いしました。
実はトロの渡航前の検疫検査に行ったんですけど、その時にマイクロチップを読み取るんです。機械をかざすと本当にすぐにピッと登録番号が出てくるのでびっくりしました(笑)。その数字のデータに住所や狂犬病予防注射の接種が済んでいるかとかも全部登録されていて、ちょっと感動しました。あれだけ数字がピッとはっきり出るなら迷子になっても帰ってきますよね。

―― はい、迷子になっても誰かが保護してくれればなんとかなるんですよね。ただ実際の話、今後義務化されるということではあっても、現時点でマイクロチップを入れているという人はまだそれほど多くないんです。

宇野樹さんとトロちゃん

宇野:マイクロチップがないと、迷子のペットを保護した人たちが困ってしまいますよね…。どうやって飼い主さんを探したらいいかわからないし。SNSで飼い主さんを探している投稿なども時々見ますけど、マイクロチップがあればそういう事もなくすぐに飼い主さんがわかるので、そういう意味でも皆さんにその重要性を知っていただければと思っています。
ちなみに兄が今行っているスイスでは、マイクロチップもそうですけど、犬を飼う時には飼い主も研修を受けるんです。飼い主の心得っていうんでしょうか、マナーや最後までその犬を看取る覚悟というのをしっかりと飼い主が自覚しないといけないんです。スイスでは犬が行けないところはなくて、レストランでもカフェでも、それこそどこへでも一緒に行けるんですが、その分しっかりしつけをしましょう、飼い主も自覚を持ちましょうという考えだと聞きました。

―― スイスのそのお話は初めて聞きました。災害時だけでなく、ペットを飼うには飼い主さんにもそのペットを守る覚悟が必要だという事ですね。

宇野:はい。

備蓄とトレーニング

―― マイクロチップ以外に、トロちゃんエマちゃんのために災害の時に備えて考えていらっしゃることはありますか?

宇野:万が一災害が起こったらトロとエマは絶対に連れて逃げるという事は決めています。避難する先や避難経路なども家族で話したりしています。
あとは、ペットフードや水、他にもトイレ用品とかシーツとか、ペットのための必須用品ってありますよね。そういうものはいつでも予備があるように多めに補充しているので、そういう点では災害があってもすぐには困らないです。

―― 避難所の備蓄品は、食料や水などは人間用として配られますから、宇野さんのようにペットの必須用品もご家庭で備蓄されているのは大切ですね。トロちゃんエマちゃんのトレーニングも始められたそうですね。

宇野:本当に最近なんですけど「ワンちゃん幼稚園」みたいなところに行っています。回数券を買って僕が行ける時に連れて行ってるんですけど、朝9時から夕方5時までずっとなんで本当に「幼稚園」みたいな感じです(笑)。

―― 始められたきっかけは?

宇野:家具をかじっちゃったりするのをやめてほしかったり、危ないことをしてほしくないというのがあったんですけど、他にもトイレトレーニングや無駄吠えしない、人に慣れるということを覚えてもらうと、万が一避難所で生活しなければならなくなった時にも困らないようになるなと、このインタビューの話をいただいた時に思いました。
つい最近も、家に人が来ることがあったんです。でも犬たちにとっては知らない人が突然来たのと同じですからびっくりしちゃって。それ以来インターホンの音が苦手になってしまったみたいで。元々はとても人懐こい子たちなんですけど、ちょっと吠えるようになっちゃったんです。でも、知らない人が周りにいて、いつもと違う音がたくさんするのって災害時や避難所と一緒ですよね。なので、そんな状況でも吠えないでいられるようなトレーニングも必要だなと思っています。

―― 始められて何か変わりましたか?

宇野:始めたばかりなのでまだ大きな変化はないですけど、トレーナーさんが「ハウス」を教えてくださったので、言えばすぐにクレートに入ってくれます。

―― すぐにクレートに入ってくれれば、慌てることなく一緒に逃げられますから災害時は助かりますね。

宇野:はい。でも、避難所が必ずペットを受け入れてくれるとは限らないんですよね?

―― 仰る通りです。「同行避難」が原則なんですが、避難所の規模や事情によってペットとの避難を断られるケースもあったりします。

宇野:そういう場合は、犬を飼っている知り合いが多いので、万が一の時には預かってもらえるか確認しておこうという話を家族ともしています。

トロとエマを守るためにはまず自分が

―― 本当に「家族」として大切に思われているのを感じます。ちなみにその「家族」であるトロちゃんエマちゃんを守るには、まずご自身を守らなければならないんですが、その辺りはどうですか?

宇野樹さんとエマちゃん2

宇野:最初にお話したように家自体は地震に強い造りになってはいます。
あとは非常食はかなり貯えられてます。母が用意周到でそういう事をすごく気にするタイプなので(笑)。
携帯トイレやその他の必要品を入れたリュックが家族全員分用意されていて、いざという時にはそれを背負って逃げられるようになっていますし、その中に入っている非常食も、賞味期限が切れる前に確認して、入れ替えるようにしています。
賞味期限って思ったより早く切れてしまうものもあるので、そこは母がとても気をつけていますね。
万が一避難所に行かなければならなくなったとしても、ひとり一週間から二週間は、あまりガッツリ食べなければ十分なくらいの食料がリュックに入っています。
避難所ではなく家にこもる形になったとしても、一ヶ月は家族全員が余裕で暮らせるくらいの食料を母がストックしています。

―― ご家族4人が一ヶ月ですか!それは安心ですね。非常食はたとえばどんなものでしょう?

宇野:乾物やいろんな種類のアルファ米、それにレトルト食品かな。温めなくても食べられるカレーとか。僕も兄も甘いものが好きなので缶に入った防災用お菓子もありますね(笑)。
あとは、母が「パスタだって茹でなくても水につければ食べられるようになるから立派な非常食なのよ」と言うんですが、その通りだと思います。
レトルト食品やパスタなどは持って逃げるには重いですけど、家での避難生活用に本当にたくさんあります。
昨日は地震がありましたけど、名古屋はわりと災害が少ない場所なんです。それでも台風や地震のニュースを見たり聞いたりするたびに、母が備蓄は十分か、期限切れが近いものはないか見直しているのを知っているので、そういう点では安心しています。

―― 備えはばっちりですね。備えがあるのとないのとではいざという時全然違うので。

宇野:はい。兄の付添いで海外に行く時にアルファ米や非常食みたいなものをよく持って行ったりするからというのもあるんですが。電気がなくてもお湯が沸かせるポットみたいなものもあります。なのでうちはわりとなんでもありますし、安心です(笑)。

―― ご家庭内でもかなり防災の話をされている感じですね。

宇野:はい。「もし逃げなければいけなくなったら、家族の中で一番走れる樹がさっとトロとエマを抱えて逃げて! 頼むからワンちゃんだけでも連れて逃げてね」と両親に言われています(笑)。そういう意味では避難経路の確認も改めてしておこうと思っています。

―― SNSで拝見している時からそうでしたが、今日こうしてお話を伺っていると、本当に「ご家族」としてトロちゃんエマちゃんを大切にしているというのが感じられます。初めてお家にトロちゃんをお迎えした時はどんな感じでしたか?

宇野:前からずっと犬を飼いたいと言っていたので、トロが来た時は嬉しかったですね。これから自分が世話を頑張っていこうと思いました。ただ、最初のころのトロのおとなしさにはびっくりしました(笑)。家族の誰もが物足りなく感じるくらい、じゃれてもこないし、おとなしい猫みたいでした。寄ってもこないし、ご飯を食べたいという様子も見せないし。誰かが何かを食べていても全然欲しがらないんですよ。新しいおやつとかをあげようとしても来なかったんです(笑)。

―― 思わぬトロちゃん秘話が伺えて嬉しいです(笑)。そろそろ時間の方も迫ってきましたが、防災に関して何かお聞きになりたい事はありますか?

宇野:これからいろいろな疑問が出てくると思うので、その時は「もし防」さんで調べさせていただきます(笑)。

―― ありがとうございます(笑)。最後に宇野さんにとっての「ペット防災」とは何か、お尋ねしてもいいですか?

宇野:はい。トロもエマも大事な家族の一員なので、もし災害があっても必ずトロもエマも連れて、2匹用のペット用災害用品も持って避難できるように、まずは日頃から備えていつ何があっても大丈夫なように意識しておくことが大切だと思います。

―― この宇野さんのお話をきっかけに、ひとりでも多くの方がペット防災の大切さを再認識し、1匹でも多くのペットの命が救われることが弊社の願いでもあります。
本日はありがとうございました。

宇野:ありがとうございました。

インタビュー風景

<編集後記>
インタビュー中もずっとトロちゃんエマちゃんを撫でながら答えてくださった宇野さん。安心しきったのかトロちゃんエマちゃんがうとうとする場面も。穏やかな話し方の中にも「トロとエマを守るのは自分だ」という意志と覚悟をお持ちなのが感じられました。
また、まずは自分自身を守るという大きな意味での「防災」に関しても、ご本人・お母様はじめご家族の皆さんが常に意識していらっしゃるというお話も伺え、大変嬉しく思いました。

<撮影協力>
株式会社 セントラルジャパン様
<撮影>
大橋 道裕様
<取材>
漆戸 章夫
株式会社 滄漣舎 代表取締役
(防災コンサルタント/防災料理研究家/防災士/ペット防災指導員/Twitter「もし防くん」の中の人)

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