災害などに備えて非常食導入を検討したことがある人、実際に購入したことがある人なら、「アルファ米」とは何か?ご存知だと思います。
お湯や水で戻して食べることができる、主に非常食や旅行食として活躍するのがアルファ米です。
実はこのアルファ米、自宅で簡単に作ることができるんです!
この記事は、アルファ米の詳しい作り方、戻し方、掛かる経費なども含め皆さんが知りたい内容を一杯盛り込みました。
アルファ米とは?
アルファ米とは、アルファ化した米のことで、Wikipediaにはこう書かれています。
炊飯または蒸煮(じょうしゃ)などの加水加熱によって米の澱粉をアルファ化(糊化)させたのち、乾燥処理によってその糊化の状態を固定させた乾燥米飯のことである。
加水加熱により糊化した米澱粉は、放熱とともに徐々に再ベータ化(老化)し食味が劣化するが、アルファ化米はこの老化が起こる前に何らかの方法で乾燥処理を施した米飯である。
アルファ化米は熱湯や冷水を注入することで飯へ復元し可食の状態となり、アルファ米とも呼ばれる。引用元: Wikipedia
つまり米の澱粉の性質を利用して作られた乾燥ご飯のことです。
炊飯後のご飯をアルファ化状態を維持したまま乾燥させたもの、とも言えます。
重要ポイントは「急速乾燥」にある!
”アルファ米とは、つまりご飯を炊いて乾かすだけ!?”
前項を読んだ方はそう思うでしょう。
実はそうなんです。
簡単に言えば、それだけなんです。
そして重要なポイントは一つだけ。
急速乾燥させること。
それだけ押さえればアルファ米は作れます。
自然乾燥は再ベータ化させてしまうので不向き
では、どうやって急速乾燥させるか?
落ちたご飯がカチカチに乾燥している、その状態を見たことがある人は多いはず。
ご飯って、その辺に置いておいたら勝手にカチカチ乾燥します。
でもそれではダメなんです。
自然にゆっくり乾燥したご飯は、折角アルファ化(糊化)したものが少し再ベータ化します。
結果的に、水やお湯では戻りにくいご飯になってしまうのです。
以下に、家庭で簡単にできる「急速乾燥」の方法を含めた作り方をお伝えします。
家庭で簡単にできる作り方
まず次の「大まかな流れ」をご確認ください。
そして必要に応じて「詳しい作り方」(写真付き)もご確認ください。
大まかな流れ
作り方を理解する上で最低限必要な内容です。
- 「おこわ」モードで炊飯する(1合=2食分)
- ご飯半分をザルに取り水洗いする
- 水をよく切る
- テフロン加工のフライパンを中弱間位の火で熱し、ご飯を均等に敷く
- 10分⇒10分⇒5分⇒5分と裏返す
- 更に熱しながら手でより小さいピースに分離していく
- 黄色っぽく色が付いてきて、全てが10粒程度以下のピースに小さくなったら、出来上がり
- 密封袋に保存
炊飯後の所要時間: 約1時間
※残りのご飯半分はもう1回作るか、普通に食べます。
詳しい作り方
以下に更に詳しい作り方を紹介します。
炊飯器、IHクッキングヒーター(ガスコンロでも可)、フライパン、ザル、ボールなどを用意します。
- まず「おこわ」モードで炊飯します。
「おこわ」モードが無ければ、水を少なめに炊くと良いでしょう。
- 炊いたご飯の半分をザルとボールに。
- 真水を注ぎ、ご飯粒をつぶさないよう丁寧に水洗いします。
これにより粘りを取り除きます。
- ザルを上げ、水をよく切ります。
- テフロン加工のフライパンを中火と弱火の間位の火力で熱します。
※IHの種類やガスコンロによって火力は異なります。一度作ってみて必要に応じて火力の調整をしてください。 - 続いて、熱くなりすぎない内に、ご飯を均等に敷きます。
※写真のフライパンは直径26cmのもの。フライパンが小さいとご飯の重なりが厚くなり火が通りにくくなりますので、最低でも24cm以上のものを使いましょう。 - 10分後に裏返します。
ホットケーキのようにキレイに裏返せなくても構いません。
以降、更に10分⇒5分⇒5分と都度裏返します。
※IHクッキングヒーターで高温異常エラーになるような場合は、時々フライパンをゆすって余分な熱を逃がしてあげると良いでしょう。
- 手で分離していきます。(火傷に注意!)
この時点で両面共に手にくっ付かない程度に乾燥しています。
火力はそのままで、手でちぎりながらご飯同士がくっ付いた大きなピースからより小さなピースにしていきます。
- 小さなピースになってきました。
まだまだ続けます。
- 一塊が10粒(目安)以下のピースに全てなったら分離作業終わり。
更に炒って全体的に黄色っぽく色が付いてきたら出来上がり!
- 火を止め、30分以上放置。
完全に冷めたら、密封袋に入れて保存します。
日付や分量を書いておくとローリングストック管理や食べる時に役立ちます。
※写真にある「水/湯必要量128g」については次項で述べています。
食べる時の戻し方
アルファ米重量の1.6倍のお湯または水を加えると丁度よく食べられます。
例:アルファ米80g ⇒ 水・湯必要量128g(80×1.6)
(この場合、208gのご飯ができます)
但し、水とお湯では掛かる時間が異なります。
水(15℃):1時間
お湯:15分
※水は、その温度によって掛かる時間が長短変化します。
※お湯は沸騰後すぐに使った場合。
(参考)自家製アルファ米に掛かる経費
ご参考までにアルファ米を自分で作る場合の経費を計算してみました。
お米代: 31円(0.5合分、10kg(=66合)4,000円)
電気代: 15円(炊飯+乾燥⇒700wh、20.31円/kwh)
密封袋: 10円
合 計: 56円
意外と安くできますね。
次に市販品の値段と比べてみましょう。
市販品との金額比較
自分で作ることによって経費節減にならないようでは、あまり作るメリットを感じません。
さて、実際のところはどうでしょうか。
自家製アルファ米(約200g) 56円
市販品(O社)アルファ米(白米200g) 216円
※各重量は、水戻し後のもの。
※市販品は希望小売価格280円(260g)から割合で計算
その差160円!
この差を大きいと見るか小さいと見るか人それぞれと思います。
市販品を通販で買う場合は、更に送料も掛かります。
金額だけでなく、特別なものは何一つ必要なく(時間が掛かるものの)フライパンで手軽に作れるのもメリットです。
筆者はなんども試行錯誤しながら作ってみましたが、地味~なアルファ米作り作業は心の安らぎでもありました。
お試しあれ。