
日本人にとって馴染み深い食材である高野豆腐。
実は非常食として最適な食材なのです。
栄養面、保存性、備蓄性、非常時の食べ方など、その優れた特性を解説します。
高野豆腐とは?
高野豆腐とは、木綿豆腐を真冬の屋外で凍結させ、水分を抜き、更に日干し乾燥させた保存食品です。
紀州(現在の和歌山)高野山で作られていたのが名前の由来と言われています。
また東北地方でも似たような製法で作られ、「凍み豆腐」(しみどうふ)と呼ばれています。
もちろん現在では、屋内の衛生的な工場で生産され商品として出荷されています。
優れた非常食としての特性
高野豆腐の何が優れているのか?
非常食として最適と考えられるその理由とは?
一つずつそのポイントを見ていきましょう。
栄養価が高く消化が良い
高野豆腐は豆腐から作られています。
そして豆腐は大豆から作られています。
であれば、栄養価が高いということご理解いただけるでしょう。
具体的には、下写真の通り、成分の半分はたんぱく質。
3割は脂質。

その他、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
消化が良いのも特徴の一つと言えます。
保存性が良い
カラカラに乾燥していますので、カビたり腐敗したりせずに常温保存できます。
市販品の賞味期限は6カ月程度。
思った程長くない?
6カ月超えてもカビたり腐ったりはしないので食べられますが、前述の通り「脂質」が多く含まれていますので、酸化して品質が落ちます。
特に開封後は、酸化が進みますので早めに食べましょう。
一般食品なので安く手軽に入手できる
高野豆腐は一般食品なので普通にスーパー・食料品店などで買えます。
値段も200円程度からありますので、毎日の食材購入感覚で買えます。
水戻しでも食べられる
あまり知られていませんが、実は熱を通さなくても数分の水戻しだけで食べられます。
(※料理方法の詳細は後述します)
非常時はIHやガスコンロなどの熱源が使えない、または限定的になる可能性がありますので、水戻しだけで食べられる食材は大変重宝します。
軽いので防災リュックにも
高野豆腐は、スポンジみたいな軽さです。
自宅用備蓄だけでなく、緊急時の持ち出し袋(防災リュック)に忍ばせておくのも良いアイデアと思います。
高野豆腐の料理方法
通常のやり方と非常時の熱源を使わないやり方を説明します。
通常時の料理
基本的には商品のパッケージに記載通り料理すればOKです。
一般的な作り方としては、煮汁(水+砂糖+みりん+だしの素+醤油+塩)で10分程煮れば出来上がり。
煮汁の代わりに4倍程度に薄めた麺つゆで煮ても美味しく作れます。
非常時の料理
熱源が無い場合でも高野豆腐は食べられます。
4倍に薄めた麺つゆ、またはおすまし程度に薄めた醤油に5分程浸けます。
やわらかくなった高野豆腐を軽く絞って※できあがり。
(※絞り過ぎるとモソモソした食感で食べにくくなります。)
最早「料理」とは言えないレベルの簡単さ。
尚、一口大に切ると食べやすくなりますが、戻した後に切ってください。
乾燥した状態に包丁を入れると崩れやすくなります。
<更新履歴>
2020/10/30 記事公開
<参考文献>
「賢者の非常食」小泉武夫著 IDP出版