参加を決める前にTOP写真

「現地では助けを必要としている。早く駆けつけねば!」
と気持ちばかりが急いて、十分な心構えと装備を持ってボランティア参加しないと、意図せずとも結果的に現地側に迷惑を掛けることになりかねません。

被災された方たちを助ける為に参加したのに、逆に迷惑を掛けてしまう・・・ボランティアをやっていてこれほど辛いことはありません。

そうならない様に、あらかじめここの内容をしっかり理解し、呑み込んでおきましょう。

瓦礫撤去、炊き出しだけがボランティアでない

災害ボランティアのイメージと言えば、崩壊した家屋の瓦礫をせっせと運び出すような作業や避難所での炊き出しなどが浮かぶと思いますが、それだけではありません。

高齢者への話し相手であったり、ペットの世話、子供への学習の援助等々、様々なボランティアがあります。
また、特技や資格を活用したボランティア、例えば、外国人のための通訳、重機を使った家屋の解体作業、体調不良の被災者に対する看護、または、特別なものでなくても、普通運転免許があれば、被災場所とゴミ集積所を行き来するような運搬の仕事もできます。

なので、「体力的に重労働は辛い」、「沢山の人とのコミュニケーションは苦手」、という方でもボランティアで人助けをしたいという行動を鼻から諦めることはありません。
作業内容、および時期的なものも含め、自分にあまり無理なく出来ること、そこからスタートするのが良いでしょう。

現地では『自己完結』であることが求められる

現地での「移動」「食事」「宿泊」などは、現地の行政機関の人やボランティアセンター(後述します)が手配・準備してくれるのでしょうか?

答えはNOです。

現地まで辿り着くのは自力だし、朝昼晩の食事は持参するか、現地で自力調達、日をまたぐ場合は、キャンピングテントを持参するか、宿泊施設を自力手配、これら全て自力で行う必要があるのです。

ボランティアは人助けをする為に被災地に赴くのであって、現地の人に手間を掛けたり、助けてもらったりする立場ではありません。
この考え方を基本として押えておきましょう。

掛かる費用全て自己負担が基本

前章に関係することですが、「移動」すれば、ガソリン代、高速代、電車・バス代、タクシー代などの費用が掛かりますし、「食事」をするには、食料を購入する費用が掛かります。
同様に、キャンピングテントを購入する費用、または現地で宿泊施設に払う費用、などが掛かります。

更に言えば、現地で作業を行うための自分の装備(ヘルメット、ゴーグル、安全靴、作業ズボンなど)を新調する場合、それらの費用も含め、全て自己負担が基本です。

地元でのボランティア活動を除き、遠方からボランティアで駆けつけるような場合は、ある程度の経済力は必要なのです。

何から何まで自分で・・・となるとボランティア活動に尻込みしてしまいそうですが、別ページで説明する『災害ボランティアへの参加方法』によっては、それら自己負担を軽くすることができます。
諦める前に、そちらも合わせてご覧ください。

現地ニーズにマッチした活動を心掛ける

災害が発生し、大きな被害を受けている状況を報道で見て、”今すぐにでも助けに行きたい!”と思うのは人間の自然な感情です。
しかし、皆が思うがままに行動したらどうなるか、交通渋滞に拍車をかけ、被災地をより混乱させることでしょう。

ボランティア活動を行う上で重要なのは、自分が何をしたいか?、ではなく、現地ではどんな助けが必要か?
その情報を掴んだ上で自分に出来ることなのかどうか考え、判断し、行動することです。

特に、災害発生初期は、生活インフラや交通網が被害を受けていたり、地震であれば大きな余震が断続的に続いているような状況、つまり被災地に行くことに危険が伴う場合もあります。
ましてや災害ボランティアセンターが稼働していない状況も想定され、そもそもボランティア参加者がどこで何をしたらよいか、それすらも分からない混乱期では、特別な事情(家族や親類・友人を助けるなど)が無い限り、現地へ赴くのは慎むべきです。

次に、災害発生初期の混乱期が過ぎ、更には災害ボランティアセンターが稼働し始めると、情報として現地ニーズやボランティア受け入れ体制などが次第に見えてきます。
それら情報を掴んだ上で、その現地ニーズにあった形(時期や作業内容)でボランティア活動を行うと良いでしょう。

計画通りにならないのは当たり前

災害発生後しばらくは、『異常時』であって、『平常時』ではありません。
従って、普段なら当たり前に出来ることが出来なくなったりするのは、当然のことです。

例えば、移動に1時間を見ていたところが、予期せぬ渋滞(交通網の寸断等)により3時間掛かってしまう、そんなことがよくあります。

また、災害ボランティアセンターに到着したのに、2時間も放置され、仕事が与えられなかった、そんなこともあります。
平常時では滅多に無いことが、異常時では頻繁に起きます。

それでは、交通網の復旧が遅れ、渋滞したのは行政の怠慢でしょうか?
あなたが2時間放置されたとしたら、それは災害ボランティアセンターのスタッフの怠慢でしょうか?
やり方がまずいのでしょうか?

そんなことは無いでしょう。
異常事態において、”思うように出来ない”、”事をスムーズに進められない”、そんな苛立ちを感じながらも皆が精一杯にやれることをやってます。
誰もが他人の重箱の隅をつつくようなことをしだしたら、それこそ大きな問題です。

異常事態であるからこそ、他人を非難せず、一致団結して何事にも取り組むことが、結果的に大きな力を生み出すことになるし、一番大事なことだと思います。


<更新履歴>
2016/11/28 記事公開
2020/06/29 文言・構成の小変更(マイナーチェンジ)