考察 from 文献 [過去記事]

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『野宿入門』 かとうちあき著

2014年2月13日

野宿入門

初回から疑問符「?」が付きそうだが、防災に関心がある方には大変参考になる書籍と思うので取り上げた。

この本は名前にある通り、はじめて野宿をする方の為に書かれた本であるが、内容的にはむしろ「野宿のススメ」とも言えるものとなっている。最初から最後まで、野宿をこよなく愛する著者が、如何に野宿が素晴らしいものか、延々と述べている感じがするのである。著者は野宿とは遠いところにいるはずの女性であるのに、本当に野宿が好きなんだなあと思わずにいられない。あたかも最愛の相手に対するような、野宿に対する著者の敬愛の念を至るところで感じられる。

勿論、野宿にはセキュリティ面などのいろいろなリスクが付き纏う。それらリスクについての疑問が浮かんでくるが、読み進めるうちに疑問が解消されるようになっている。勿論自宅で寝るような完璧さは求められないが、それなりの対応策があるものだと感心する。

防災的見地からすると、野宿をするというのは、非常事態時に否応なく発生する可能性がある事象である。ひとたび大地震が起きれば、住宅が倒壊・消失することもあるし、指定避難所が損壊しているかもしれない。そうなれば、当然野宿をするというシチュエーションも考えられる。大規模な首都直下地震が発生すれば、800万人の帰宅困難者が出るとの試算がある。やはり野宿の現実味が増してくるのである。従い、防災的に見ても野宿は、我々一般庶民にとって、考慮すべきアイテムであると言うことができる。

ただ、著者は、「イザという時の為の野宿のススメ」を第一義に置いているのではなく、野宿を楽しもうとのスタンスである。自分の寝る部屋があるという前提での野宿であるから、ある意味キャンプや車中泊に近く、そしてそれらをかなり質素にしたものであると言える。従い、「お気楽野宿」と言えなくもない。被災者の絶望的状況で直面する野宿とは、心のあり方が全く違うからである。それでも悲惨な状況下での野宿とあえて自己不憫に陥るより、「たまには野宿も悪くない」と開き直るほうが、精神衛生上よっぽどいいに決まっている。(言うのは簡単か・・・)

著書の中でこういう記述がある。(引用開始)「野宿をすること」が選択肢に増えただけで、酔っぱらったときや終電を逃したときにも、ひとは少しだけ自由になれる。慌てずにすむ。- 中略 -それに、「なんだか家に帰りたくない」なんてときだって、「そうだ、野宿があるじゃないか」と思うことができれば、どんなに気が楽でしょう。「なんとかなる」と思えるのは、どんなに心強いことでしょう。(引用終り)

わたしは、野宿というアイテムを自分のものにする効用として、精神的に余裕が増す、というのは大きいと思うが、一方で「生きる力」を増強させるという点も大きいと感じる。
まあ、小難しいことを考えないで、まずはベランダや自宅の庭でも構わないので、寝袋もって「野宿」をやってみようと思う。

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