考察 from 文献 [過去記事]

文献や書籍を読んでのレビューを書いてみます。

小難しいものより、取っ付きやすいものを中心に選択するつもりです。
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『地震イツモノート』

2014年3月26日

地震イツモノート

地震イツモプロジェクト:編
渥美公秀:監修
寄藤文平:絵

この本は、1995年に発生した阪神淡路大震災を経験した被災者の意見を集め、それをもとに作られた防災マニュアルとなっている。(*東日本大震災は含まれない)

著者は、前文でこう書いている『防災が、地震のための特別な努力ではなく、私たちのライフスタイルの中に自然と横たわるものであってほしい。そんなキモチをこめて、「地震モシモノート」ではなく、「地震イツモノート」としました。』。この著者の想いが、本に具体的形となって現れている。僅か171ページの文庫本の中に、シンプルで特徴的な絵がふんだんに使われており、被災地などの様子がイメージしやすく、書いてあることが頭にスーッと入ってくる。

著者自身が「防災マニュアル」とは言っているが、マニュアルを読む!というような気合や覚悟は一切要らず、軽い読み物を手に取ってペラペラめくってみるという感じでスタートできるのが嬉しい。「1.地震がおきた瞬間」、「2.地震とその直後」、「3.救援活動」、と読み進めていくと、次第にのめりこんでいる自分に気付く。続いて、「4.避難生活」で佳境となり、「5.地震が教えてくれる未来」、そして最後の「イツモメモ」まで一気に読み終えてしまう。

被災地の現実の姿に圧倒されるが、防災という活動のハードルを上げることは著者の意に反する。むしろ日常の生活に、防災というエッセンスを取りこむ、例えば、「スポーツという防災」「アウトドアという防災」「もったいないという防災」などヒントが与えられ、なるほど防災とは特別なことではないんだと思わせる。

防災を何か特別なものとして高みに置いてしまった人、その活動のハードルを知らずに上げてしまった人、そんな人たち(恐らく、我々庶民の大半に当てはまると思う)は是非とも読んでみてほしい。参考になること、ためになることが、沢山あるはずだ。当サイト『もし防』の管理人にしても防災というものを皆さんに身近に感じてもらうことが大切と考えているが、記事一つ一つはどうしても堅苦しいものになってしまっているので、そういった面の改善のために非常に参考になった。(ただ、センスも関係するので一夜にして改善は難しいが・・・)

強いて注文点を挙げるとすれば、最終ページに掲載している「基本備品一覧」だ。個々の役立ちグッズは、なるほどなるほど、と納得できるのだが、それらアイテムを全て集めたところで、全部を緊急時に持ち出すのは難しい。つまり、重量・体積面から、人間が背負って持ち出すのは容易ではない。ここは、①緊急持ち出しセットと②自宅備蓄防災セットに分けて考えるべきと思う。当サイトでも緊急持ち出しセットを紹介しているので、参考にしてほしい。

最後に、本書は防災マニュアルといっても敢えて軽い・取っ付き易い内容となっている。従い、これだけ買って押さえておけば良いというものでは決してない。いや、例え、防災大百科なる分厚い本が存在しても十分ということはない。逆に、知識ばかりが増えて頭でっかちになる危険性がある。行動が伴わないと何の意味もないのである。何はともあれ、日ごろの生活の中に防災エッセンスを加味していくところからスタートするべきだ。その手助けとなるであろう本書はスターター的な位置付けと考えると良いかもしれない。

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